2022/03/14 08:06


表面活着の染め技法

弊社の『オーガニック伊勢藍染』は、オーガニックすくも(すくも=藍染の染料で、藍草を醗酵させた染料。弊社の場合は、藍草を無農薬無化学肥料で栽培し、それを醗酵させすくもにする)を使用し、更に一切の化学物質を使わず自然の原料だけで染液を造り、その醗酵した藍染液の微生物の力で染め上げた衣類です。赤ちゃんが吸っても安心安全で、たくさんの効果効能を備えたミラクルな衣類です。その染液は舐めると身体の痛みが驚くほど緩和され、身体の機能を向上させる優れた効果を発揮します。

染液を造る技法としましては、弊社では灰汁醗酵建て技法と称する技法を採用しております。

この江戸時代から続く技法は、通常の草木染とは異なり、還元のメカニズムを用いて染める、非常に特殊な技法です。還元作用により、すくもから色が溶け出した染液に浸して絞り、そして空気に触れさせて酸化させ色を出す…という染め工程を何度も何度も繰り返し、少しずつ生地に藍の粒子を貼り付け染め重ねていくことで藍の層を作り、淡い色から濃い色へ変化させていくという表面活着の染め技法です。

ですので、非常に時間と手間のかかるのが当店の『灰汁発酵建て オーガニック伊勢藍染』です。
そしてその後、地下から汲み上げた山から流れる伏流水で灰汁抜きと定着を行い、それが終わると洗い、自然乾燥という手順でお客様にお送りさせて頂いております。(定着にも化学的な薬品は一切使用しておりません。そもそも本物の藍染の場合、定着剤などは必要ありません。)
最後の仕上げにも、微生物の生存を衣類に残す意味で、ノーアイロンでお届けさせていただいております。

お手入れ・お洗濯について

◎基本的に洗濯は不要です。気になる場合は軽い水洗いを

全ての原料にこだわり、染料はオーガニックすくも、染め技法は江戸から続く『 灰汁発酵建て藍染 』という醗酵技法を用いて染めた(限りなく江戸中期の藍染に近づけた)衣類は、優れた抗菌・防臭効果を有するため、どんなに汗を掻いても(何日着ても)、藍染自体は臭くならず、基本的にお洗濯の必要はありません。※これは『オーガニック伊勢藍染』にのみに言えることで、弊社では第三者機関にて科学的実証実験を行い、エビデンスを取得しております。伝承レベルの曖昧な言い伝えや、広く流布している藍草の成分分析を根拠に、藍染の効果効能を謳っているところとは一線を画しております。これは、お客様に信頼できる本物の価値ある藍染製品をお手に取っていただきたいからです。

『オーガニック伊勢藍染』は、表面活着という特殊な染めで、生地の表面を完全に藍でコーティングしてシールドしていますので、染めを施していない綿よりも汚れが落ちやすく、汗や汗ジミ程度でしたらサッと水を通す(水で軽くすすぐ) 水洗いで充分です。

※石鹸や中性洗剤は基本的に使用しない

弊社では常に《一般社団法人 日本藍文化研究所》と共に、江戸の中期に全盛を極めた藍染についての探求を推し進めております。

ですので、藍染の究極の存在価値は効果効能に有り!!という江戸中期のスタンスで製品をご提供させていただいております。現代の色とデザインが先行する 完全に藍の本来の価値を見失ってしまった日本の藍染界の現状を、また本来の認識『藍染は纏う薬であり、体感できる効能があるから藍染には価値がある』に戻して行こうと、日々、本物の藍染の普及活動取り組んでおります。

巷で流通している化学的な薬品を使っている藍染(現代の藍染の99%以上)は、『オーガニック伊勢藍染』のような藍草の効能を持たないため、大抵の紺屋(藍染屋)では色を残す意味で、中性洗剤で洗うことを推奨しています。それは藍の効能よりも、色を残すことだけを重視しているためです。石鹸洗剤も同じく界面活性剤が自然に発生する洗剤です。更にはアルカリよりですので、色の面だけを考えても使用には適しておりません。

セスキ・重曹等アルカリ系洗剤

また、セスキや重曹をマグネシウム等を洗剤として使用した場合ですが、これらは化学的なアルカリです。界面活性剤ほど一度のお洗濯で藍の効果効能が失われることはありませんが、自然の植物の力は化学的なものには勝てません。ですので、セスキや重曹の場合も藍の効力(効能)は徐々にが失われていきます。また色も徐々に落ち(藍染は表面活着ですので、擦れで落ちていきます)、冴えた水色に変化していきます。

水洗いの場合でも徐々に効能は失われてしまいます。

もちろん水だけの場合でも自然な染めですので、生地の経年劣化、毛羽立ちと共に、当然徐々に染め色は変化し、効能は少しづつ薄くなっていきます。

どうしても汚れが気になる場合

どうしても水ですすぐだけでは汚れが気になる方は、中性洗剤、石鹸洗剤よりは合成洗剤でないセスキや重曹、マグネシウム等でのお洗濯をお勧めいたします。(通常、水だけでも80~90%の汚れは落ちるということは実証されています)

最近はバイオ(微生物)の力で洗う溶液(入浴剤にもなるもの)や、自然のものから抽出したものもございます。

漂白剤、クリーニングは絶対にお避けください。

また保管の際には防虫剤(パラゾール、ナフタリン)等の化学物質を使用しますと、藍が死に、色が抜ける場合がございますのでお気を付けくださいませ。科学的な防虫剤を入れなくても、本物の藍染には虫除けの効果がございます。ですのでそれをタンスの中に1枚入れておくと、消臭と防虫剤の両方の役割をしてくれるので大変重宝いたします。

※当工房の『 灰汁発酵建て藍染 』の 藍の効果・効能を求めることよりも、肌や他のものへの色移りの方が気になる方は、ご購入をお控えいただけますようお願いいたします。